・宿題がわからず困ってる子に教えていいのでしょうか?
・子どもたちは学童で宿題を必ずやらないといけないの?
学童保育では、子どもたちが宿題をする時間「宿題タイム」を設けている所が多いと思います。
宿題をしている子どもから「この問題がわからない」「教えてほしい」と言われたら教えて良いのか、同じように悩んでいる新米指導員もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、私の指導員としての経験を元に、宿題タイムの指導員の役割についてお伝えします。
学童保育で指導員が勉強を教えて良いのか?
まずは、学童保育で指導員が子どもたちに勉強を教えて良いのか?という疑問について解説します。
「指導員は子どもに勉強を教えてはダメ」という学童保育があるという話は、私も聞いたことがあります。
現在勤めている公立の学童保育、以前勤めていた民間の学童保育では「宿題を教えないように」という方針ではありませんでした。
ただ、民間の学童保育の「学童保育のしおり」には
・宿題の声かけはしますが、必ず保護者の方が責任をもって宿題の点検・確認をしてください。
・指導員は、個別に勉強を教えることはできません。民間学童保育の「学童保育のしおり」から抜粋
と記載されています。
「学童保育のしおり」は、保護者の方にお配りする案内書になります。
個別に勉強を教えることはできない意味とは?
『指導員は、個別に勉強を教えることはできません。』について、民間学童保育の会社から聞いた話では、
- 子どもが宿題を自主的にするよう「声かけ」は必要
- 指導員の仕事は勉強を教えることではないがアドバイスはしても良い
- 勉強につまづきがある子は、学校や保護者にサポートして頂く
とのことでした。
学校や学習塾のように、指導員が勉強を教えることはできませんが、アドバイスならしても良いので、私も実際に宿題のアドバイスはしています。
学童保育の「宿題タイム」のあり方
学童保育の「宿題タイム」の指導員の役割について、具体的に解説します。
学童保育では「子どもが宿題、自習等の学習活動を自主的に行える環境を整え、必要な援助を行う。」ことが大事です。
学童保育を管轄している厚生労働省の「放課後児童クラブ運営指針解説書」にもそのように記載されています。
厚生労働省「放課後児童クラブ運営指針解説書」 (PDFファイル)
子どもが学校から帰ってきたら、まずは「宿題タイム」を設けている学童保育が多いと思います。
一年生の子どもたちは、宿題することに慣れていないので、「帰ったら宿題」という習慣を身につけさせることが目的でもあります。
まずは声かけをしましょう
子どもたちが帰ったら、宿題するよう声かけをしましょう。
学校から帰ってきた子どもたちは遊びたい気持ちでいっぱいで、次々と帰ってくるお友達とおしゃべりしたり、一番賑やかな時間でもあります。
私の学童での宿題タイムまでの流れは
- 「ただいま~!」
- 手洗い・うがい
- 連絡帳を指導員に渡す
- ランドセルから宿題の用意を出す
- ロッカーにランドセルや荷物を置く
- 班のテーブルに座って宿題を始める
毎日の習慣になっていますので、この流れで宿題を始める子が殆どです。
宿題の準備がなかなかできない子には、「宿題しようね」と声かけしています。
宿題する子が増えてきたら、お友達をおしゃべりしていた子も「自分もしないと!」と宿題を始めることが多いです。集団生活の良さですね。
宿題がわからない子がいたら?
宿題がわからない子がいたら、私の学童では指導員がアドバイスしていますが、気をつけることがあります。
- 問題の答えをそのまま教えない
- 間違った教え方をしてはいけない
学校での教え方がありますので、間違った教え方をしたことによって保護者のクレームに繋がることがありますので注意が必要です。
「アドバイス」と「教える」の線引きは難しいですが、できる限り子ども自身が考えて答えを導き出せるようなアドバイスを心がけています。
子どもからよくある質問の一つに、算数の文章題の「問題の意味がわからない」があります。
例えば
「りんごが 3こ あります。2こ かってくると、りんごはぜんぶで なんこ になるでしょう」
という問題があるとしたら、子どもと一緒にゆっくり読みながら、合間に「りんごが 3こ あるんだって」と言いながら読み進めているうちに、「わかった!」と、式と答えを書き始めることが多いようです。
その日に学校で習ったことの宿題なので、「わかった!」は「思い出した!」かも知れませんね。
また「問題の答えをそのまま教てはいけない」のですが、教えないわけにはいかない、困る質問があります。
それは、
- 「あ」はカタカナでどう書くの?
- 「6」は漢字でどうだったかな?
- 「ぎょ」はローマ字でどう書くの?
など、「カタカナ」や「漢字」「ローマ字」そのものがわからない。という時です。
指導員が簡単に答えを教えるのもどうかと思いますが、子どももわからないので 考えても答えが出ないものです。
そういう時は、ランドセルから教科書を持ってきて調べるように促したり、学童保育に子ども向けの辞書や本が置いてありますので、それを見てみようか?と言って一緒に調べたりしています。
教科書や本を探してもなかったら、調べようがないので答えを教えるようにしています。
学童保育によっては、「ひらがな表」「カタカナ表」「九九表」を壁などに貼っている所もあります。
子どもから質問されたら「この表見て」と指導員も言いやすいからでしょうか。
質問によっては「どうアドバイスしよう?」と考えてい間に、同じ班の同級生の子、上級生の子がその子に的確に教えてあげることがあり、感心することがあります。集団生活ならではの良さですね。
宿題をしない子がいたら?
宿題タイムに宿題をしない子がいますが、それぞれ理由があります。
- 学校の休み時間に宿題を済ませた
- 家に帰ってから宿題をする
- 延長保育の時間にする
- 宿題をやる気分ではない
学童保育では「宿題タイム」を設けていますが、必ず宿題をしなければならない。という決まりはありません。
指導員から「宿題しようね」と声かけはしますが、基本は子どもたちの自主性に任せています。
ただし、「宿題タイム」はみんなが勉強する時間ですので、宿題をしない子は本読みなどをして静かに過ごすことになっています。
3~4年生になると、自分の宿題にかかる時間がわかってきているのか、宿題タイムが始まる頃は本読みなど好きなことをしているのですが、宿題タイムが終わる頃に集中して終える子もいます。
宿題が終わらなかったら?
「宿題タイム」で宿題が全部終わらない子はよくいます。
- 宿題に取り組むのが遅かった
- 宿題をするのがゆっくりな子
- 宿題タイムの途中で帰ってきた高学年の子 など
高学年の子は下校時間が遅いため、「宿題タイム」に全員が一斉に宿題を始めるという日の方が少ないかも知れません。
私の学童では「宿題タイム」の間に宿題が終わっていない子は、別のテーブルに集まって、そこで引き続き宿題をしています。
これは強制的にではなく「まだ宿題をしたい人は?」と呼びかけて、手を上げた子だけです。
以前、全学年の子が一斉に「宿題タイム」が始められるように
「ただいま」→「宿題タイム」→「室内遊び」→「おやつ」を
「ただいま」→「室内遊び」→「宿題タイム」→「おやつ」に変更
したことがあります。
下校時間が早い低学年の子は、帰ったらまずは「室内遊び」をして、高学年が帰ってきてから一斉に「宿題タイム」に変更です。
そうしている学童保育もあるかも知れませんね。
私が勤めていた学童で、「室内遊び」と「宿題タイム」の順番を逆にしたら、「室内遊び」の時間に宿題している子が何人もいて、元に戻したことがあります。
学童に帰ったら宿題するという習慣になっているのですね。すばらしいです。
また、子どもが希望すれば、おやつの後の「外遊びの時間」にお部屋に残って宿題することも出来ますが、みんな外遊びが大好きなので、そういう子は滅多にいないです。
保護者からの要望にどう応える?
保護者の方から「学童で宿題を済ませて欲しい」と要望を頂くことがあります。
また、「宿題は家でみますので、学童でしなくても大丈夫です。」というご家庭もあります。
「宿題タイム」に宿題をするかどうかは、各ご家庭で話し合って頂き、連絡帳等で保護者と学童が連絡を取り合って、要望にできる限り対応することが大切かと思います。
宿題を済ませて欲しい。と要望があった子どもさんには、できる限り宿題するよう声をかけしていますが、あくまでも指導員ができることは「声かけ」のみです。
たくさんの子どもたちを見守る指導員です。宿題をしていることは確認できても、宿題を全て終えたかどうか、間違えているかどうかの確認をすることはできません。
「国語の音読」の宿題なども一人ひとり聞いてあげることは出来ませんので、おうちで聞いてもらうように子どもたちに伝えています。
入所説明会でも保護者の方にお伝えしていますが、学童保育で宿題を済ませて帰っても、「おうちで宿題ができたかどうかの確認をしてください。」とお願いしています。
学童から帰った後、保護者の方も家事に追われて忙しいことと思いますが、学童保育と家庭が協力して子どもたちの成長を見守ることができるといいですね。
まとめ
今回は、学童保育での宿題タイムの指導員の役割についてお伝えしました。
- 指導員は子どもが勉強しやすい環境を整えるのことが仕事
- 学習指導は出来ないが、アドバイスすることは問題ない
- 学童で宿題をするかどうかは各家庭で話し合い、指導員はそれを支援する
指導員の仕事を始めた時、宿題タイムに宿題をしない子がいたら気になりますし、子どもたちから「宿題を教えて欲しい」とお願いされたら、どうして良いのか戸惑う気持ちもよくわかります。
今回、私の学童での経験からお話させて頂きましたが、施設によっては「宿題を教えていけない。アドバイスもダメ」という所も実際にあるようです。
まずは主任さんや先輩方から宿題タイムに関しての「学童保育の方針」を確認してくださいね。
今回は以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました!